【フラクタル・パンドラ】/たりぽん(大理 奔)
 
  憎しみの中に愛があると
  都合のいい性格占いのような
  内在する、という幻想法(パラダイム)で
  あなたの半身を
  私は求めてしまった

こうして高原に陣取り
遠めがねで見つけた光は
点に見えるだろう? でも本当は線だ
そして星空は線に満たされて面になり
美しいものと暗闇の隙間に
対象性は失われ
それすら内在する、というのなら
もはやそれは神話だ

  今日のなかの明日を
  時間と距離に置き換え
  遠い とおい果てを消失点と定め
  旅する、という幻想法(テクノロジー)で
  私の半身を
  あなたに預けてしまった

あなたと私は愛し合う時間
お互いとは思わなかった
ふたりはよく似ていて
自分自身にもよく似ていて
それは内在も発露もしないまま
都合の良い占いのように
よく似た結末で
私の半身は
見知らぬ獣と入れ替わって
爪の先まで

  もしもあの時、 いや
  それも幻想法(パンドラ)だ
  




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