曇天にただ春を待つ/ウデラコウ
その濡れた髪が
乾くまでの
わずかな時間
滴る雫を
眺めながら
あなたへ紡ぐ
奇跡を祈る
あぁきっと
今日も明日も
昨日と同じように
あなたは 嘘を並べて
真実をあの青空の向こうへ隠してしまうのだろう
あたしといえば
大層それを欲しがって
冷たいアスファルトに突っ伏して
どうか其れを頂戴と
虚空にただ 希うのだ
声は届かない
空が道を閉ざしてしまうから
あなたには届かない
虹が全てを曲げてしまうから
回折格子のその中で
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)