輪郭/渡邊永遠
一歩先しか見えない道を歩きながら
ぼんやりとした不安を抱えながら
後退りも出来ずに
一歩、一歩を進み行く
目的地も分からない
いま、どこにいるのかさえ見当もつかぬまま
立ち止まれば抱えた不安の輪郭がはっきりと姿を現してくるので
急きたてられるかのように前へと足を進める
ぼんやりとした不安のままの方が
まだ恐ろしくなく
まだ抱えていられるのだ
一歩先しか見えなくとも
確実にそれでも前へは進んでいる
そんな僅かな安心感と
輪郭のない不安を抱きながら
一歩、一歩を進み行く
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