駅・五反田/たりぽん(大理 奔)
 
ビジネスホテルの一階の
回転寿司屋で黒人さんの握った
トロのしゃりがあまりにも真っ白くて
私は奥歯で笑いながら
虎を溶かして作ったバターを思い出す
たしか、色素の抜けた太めのコックが
伝統的に不味く焼いたイギリスパンに
塗って食べるのが正統なのだと
東印度会社の中国人に教えてもらった
虎が溶けたバターの使い方がわからなくて
日本人は傷口に塗ってたらしい
トマトもトウガラシもポテトもトウモロコシも
聖典には載ってなかったけど
海を渡った浮浪者達が
新しい聖典に教書と名付けてから
伝統的な欧州料理になったと
移民帰りのおじいちゃんに教えてもらったな

そんな まぬけな夢から
目覚めると、 五反田だ

改札を抜けると
時計は昼の二時だったので
まだ牛丼はあるだろうかと
私は奥歯で笑いながら
オレンジの看板を探す




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