旅程、もしくは別の呼び名で/たりぽん(大理 奔)
 
旅程、 それは
気体としての体の呼び名
約束は山嶺のむこうで
鼓動が、 「遠く」と嘆く
あなたの住む町に
なごりを凍らせて
肌の温度で流れ出す
液体としての心

  はるか、 はるかと叫んでみても
  遡上とは終着ではなく
  いつも、 いつもと嘆いてみても
  鏡のように頬を映すだけで

旅程、 とあなたはいいましたね
一緒に過ごした、と思わせて
源流の朝のような濃い吐息を
距離ではない隙間に

  遅い雪起こしのいなびかりが
  激しく打ったのは
  胸で凍るほどに圧縮された
  気体としての体の

終着ではない行き止まり
息苦しさで空に跳ねると
秋を移した枯れ葉の上に
旅程、 という名の私が
たどり着くこともなく
冷たく銀色に横たわるのです


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