蒼茫のとき?死の風景/
前田ふむふむ
ことはなかった。
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モノクロームの写真が、
掌のなかで、燃えている。
ライターを握る手が震える。
静寂のむこうに、ふたたび、
生ぬるい夜が窓を開けることは無いだろう。
わたしの手に、木漏れ日が射している。
新生を照らす大きさだけを
いのちの鋏が切り抜いて。
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