新しい朝/北野つづみ
今日という日が終わり
太陽は地に落ちて
暗い 夜が始まる
冷たくなった空に
白い月が懸かっても
昼の明るさには
敵わない
赤ん坊は泣きながら眠りにつく
母親は優しくあやしてやる
この闇の向こうにあるものを
赤ん坊は知らない
ひたひたと寄せてくる黒い波
けれどその波の向こうにあるのは
まだ見たこともない
新しい朝
それは約束
くり返し与えられる
真っさらな時間
この一日をきっと
昨日よりも上手に生きられる
閉じた瞳を開く朝が来ることを
わたしたちが信じて疑わないように
一つの疑念もなく
一点の曇りもなく
わたしたちもまた信じられている
あなたに
その驚き
その喜び
生きてごらんとわたしの背を押す
朝の光の中で満ちてくる
二〇〇六年九月二十日
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