小箱のなかで(三)/青色銀河団
 



光に濡れた
うつくしい響きのガラスの果実は
紙の野原で
練習帳をひらきます

朝のラインにそって
風をまなぶための
一冊の文法のノート


(それは小箱のなかのうつくしい霧の朝)







むかし雨の日に
海まで歩きました

一冊の文法のノートを携えて

(潮はどこまでもどこまでもあおく満ちていきました)





風が止みました
音の郵便は
誰もいない蛍光ランプまで
もう届きません




美しいひびきは
どこかしら
母に似ていたようです




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