聞いて聞いて/ぽえむ君
 
「ねえねえ、聞いて聞いて」
そう言ってくる子どもが
少なくなった
本当は聞いてほしいのに
本当はたくさん言いたいのに

「どうしたの?」
子どもの変化を察して
大人がきっかけをつくってあげる
子どもはようやく口を開いて
いたずらを告白するかのように話す
本当はとてもうれしいのに
本当はとても立派なことなのに

「ふーん、そうなんだ」
しょんぼりとした子どもの口調に
大人は会話を閉じてしまう
本当は話を広げたいのに
本当は心を開きたいのに

「本当はね…」
子どもは自分の中で会話する
本当は誰かに聞いてほしいのに
本当はたくさんの大人に言いたいのに
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