書く動力14/Dr.Jaco
行き来しながら言葉を吐いて
いる。そんなふうにしていることに飽きたかのように私は文字を置くのであるが、
別に脱出できたような振りができるだけだ。だから、もとの愛憎の世界に引き戻
す(還元するかのように思える)朗読というものを忌み嫌っているのかもしれな
い。(動力の結果である文字を読むことによって、動力を再現する試みは失敗す
る、とも思っているが。一方的に聞くことは動力とは関係ないという偏見。)
愛憎の境目たる白いシーツの皺は、写真に映った海と空の境目であり、手のひら
と手首の皮膚の境目であり、男性器を挿入したときの女性器との境目であり、男
性器からしか見ることのできない私と女性
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