ジャスコ/
吉田ぐんじょう
それでも見通しはよくなって
遠くの方の歯科ビルと
やはり同じ時期に潰れたパチンコ屋と
希薄なカルピス色の空が見える
電線がノートの罫線のように
空中を走ってさんざめいていた
青信号が点滅している
ためしに
ジャスコ
と呟いてみると
白い息が鳩のように
飛び立っていった
何の根拠もないのに
どうしてだろう
救われたような気持ちになって
マフラーを巻きなおして
少しわらってみる
西へ陽が沈んでゆく
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