どこかへのお手紙。/狠志
おじいさん。
おばあさん。
私は、あなたたちを見たことがありません。
声を聞いたことも。
名前でさえも知りません。
私は、あなたたちが死んでしまう前に、
居なくなったのですね。
写真もほとんど見たことないのです。
私は、淋しくありませんよ。
だって、存在自体を知らないんだもの。
(一度は見てみたかったかも。)
けれど、母親によく言われるのです。
背の高いとこは、あんたのおじいちゃん似にとる。
トマトが好きなとこは、おばあちゃん似にとる。
へー。としか、言いようがありませんが。
あなたたちの血も、流れてるのでしょうか。
不思議な感じです。
おじいちゃん。
おばあちゃん。
いつか、逢いましょう。
(私が分からなかったら、会釈だけでもよろしくお願いします。)
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