「冬が来た」/
広川 孝治
夕暮れの冷えた風受け
肩すくめ襟かきあわす
山際に光の名残
空の色すでに濃紺
並木道力の尽きた
枯葉たち道を埋める
吐く息の白さ際立つ
針の様 澄んだ空気
冬が来た 葉をむしりとる
冬が来た 寒々として
冬が来た 街凍らせる
冬が来た 人震わせる
街角にぽつんと光る
自販機の前立ち止まり
三枚の硬貨と換えて
一本のぬくもりを得る
体内に灯がともるよに
ぬくもりが染みてゆくとき
我悟る 冬が来たのだ
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