ジャングルの朝/いとう
 

体温を逃がさないように
君は丸くなって僕の隣りで
いつものように
まだ寝息を立てている
まるで小さな生き物が
昨日も生き抜きましたと
陽光に告げるように

寒い、寒い、いつもの朝
「おはよう」はまだ君に届かない

僕たちの寝ぐらの外ではもう
いろいろなものたちが
今日に向かう気配を発し始めている
その気になればこんな小さな場所など
あっという間に潰されてしまうのだろう
テレビのニュースでは
遠くの密林で何人死んだと
いつものように流している

身を寄せ合い
体温を共有して
僕たちは生き抜いていく
一人ではできないことと
二人でしかできないことを
[次のページ]
戻る   Point(10)