全ての負け犬に告ぐ/虹村 凌
 
全ての負け犬よ
拳を握れ
ポケットの中で
コートの内側で
机の下で
拳を握れ負け犬よ
その手に意思を握りこんで
拳を硬く握れ
意思を握りこんだその手は何よりも硬く
誰にもほどけない硬さになるからだ

全ての負け犬よ
拳を掲げるんだ
誰もいない早朝の教室で
授業中に空っぽの屋上で
真夜中の自分の部屋で
意思を握りこんだ拳を掲げるんだ
誰にも届かない高さに掲げた拳は
何よりも高く美しく輝いて
その意思をもっと硬いものにするからだ

全ての負け犬よ
お前達の愛した世界は否定された
何故だ?
脳味噌が空っぽの腐った人間によって
誰かと叩き落す事しか知ら無い
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