テクストの蝶/
下門鮎子
(吐く糸で自分をがんじがらめにした)
誰かのために紡いでいたつもりの
それがいつの間にか
こちらに巻きついてくる
糸を断ち切ろうとあがいても
やわらかい糸はすべての力を飲み込む
包容力を見せる
眠りつづけ、目覚めつづけて
糸をかきわけ、疲れながら
わたしはわたしから目をそむける
わたしを見ている。
怖れるな、
織物となれ、
我汝のそばに!
やがて闇のなかの
白い眠りに包まれる――
五色の羽根が生まれるまで。
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