あい・らびゅー/愛心
知った
わたしは慌てた
『謝らなくちゃ・・・・・』
竜の前に行くことはできた
でも謝る前に竜はどこかに行ってしまう
それが何日も続いた
そしてとうとう
竜と竜の家族が
引っ越してしまう日がやってきた
竜は何もいわずバスに乗った
バスが発車すると
わたしは反射的に追い駆けていた
『待って・・・待って・・・・・』
竜はわたしに気づくと窓を開けた
「あ、あい・らびゅー」
竜はいったのだ
わたしに聞こえるような大きい声で
わたしは走りながらいった
「みー・とぅ」
わたしは走る速度を落とすと
そこに立ち止まった
わたしは見た
確かに見た
竜の笑った顔に伝う涙を
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