個/奥津 強
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だが、無を否定する事は出来ない。
肯定も出来ない。
全ては中立、その存在の個に全てが集中するとなるならば、
中立、どちらともつかず、天秤の中央、一ミリも全く存在しない世界こそが、
無の中心。
私らは、確かに何かを感知している。
よく夢想する事だが、私らよりも知性の高いもの、ないし、全てにおいて勝っているものが存在するかもしれない。
宇宙を越えるものがあるのかもしれない。
死後の世界かもしれない。
全ては憶測に過ぎない。だが、これだけははっきり言わせて欲しい。
「全ての生き物に感知するな。お前だけがお前を生きる全ての存在であり、出発の個こそが、存在だ。体や脳も存在であるならば、お前は、お前の築く人生を歩め。およそ、人という生物が決めた善悪など、無視したものこそが、生き物。完全はなく、人は、個を生きていけばいい」
私は、人を語れない。分かったように語る存在を肯定する。分からない存在を肯定する。
全ての人生に色を染めろ。
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