涙/由香
泣いても笑ってもただただ醜いだけだった少女はやがて年を取り大人になり老人になり灰になった
彼女はただただ醜く
自分を呪い
両親を呪い
周囲を呪い世界中を呪い
(友達はいないので友達は呪わなかった)
彼女はたった一人で
(実際は実家で両親に食わせてもらっていた)
彼女は涙を流していた
それはそれは醜い光景だった
彼女はにくいにくいと呟いていた
それはそれは醜い光景だった
彼女は自分の醜さが嫌だった
彼女の両親はそんな我が子が不憫で不憫で
家に鏡を一切置かなかった
だから
彼女は自分の本当の醜さを一生知らないままだった
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