はだかんぼう/佐野権太
山になった洗濯ものの回りで
君は
春のような
スキップを踏む
おうちを買わなければ、よかったね
だって、お金持ちだったんでしょ?
たた、たたん
ちいさな袖をそろえて
重ねてゆく、ぬくもり
家がないと困るのだ
寝る場所としての、家が
旅をすればいいんじゃない?
たたん、たたん
手をとめて
よく晴れた
窓をみつめる
旅をしていたら働けないのだ
食べるものはどうするのだ
きのみを、食べればいいんじゃない?
たん、たたん
軽やかな風をつむぐ君は
爪先を確かめる
頬にこぼれる髪
すくって
残念ながら
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