黒いカラス/なかがわひろか
 
黒いカラス、黒い羽
世界の果てを見に行こう
神様は死んじゃった
つまりは神様は存在していたと言うこと

足跡を残したぬかるみは
ほどよい弾力で有る限り
アタシの痕を残しつづける
つまりはそこにアタシは居たと言うこと

赤い薔薇の花は
白い薔薇を染めただけ
カラスの黒い羽も
きっと真っ白だった羽を悪魔色に染めただけ

黒いカラス、黒い羽
白い薔薇は赤い薔薇
深みにはまるぬかるみは
アタシの生きた痕を埋める

誰もが寝静まる夜深く
雨で落とされたカラスの黒は剥げ落ちる
元の色に戻れる唯一の瞬間
誰もが寝静まる真っ黒な世界で

真っ白なカラスは空を舞う

(「黒いカラス」)

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