創書日和。白 【ながい首】/佐々宝砂
きみの首はしろくてほそくて
手折られるのを待ってる野菊の茎
だなんて
心底バカ丸出しな手紙を見つけて
真夜中にひとり
わたしはけらけらわらった
ああそうなのねそうなんだ
だからあのひとは
今ここにいないんだ
そういうことなんだ
なんだなんで気づかなかったのかな
わたしって本当にバカ
しろくてほそい首の持ち主を
ねえ わたしよく知ってるよ
あのこわたしの妹だもの
あのひとは知ってるかなほら
わたしの首もしろくてほそくて
しかもあのこより熟してるんだから
だから秋の夜のしめった風の中
わたしの首はするりと抜けて
くるくると白い螺旋巻いて
あのひとのもとまで飛んでゆく
わたし飛頭蛮
あのひとのもとまで飛んでゆく
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