あの日の歌声/快晴
あなたは澄んだその声で
小さな愛の歌を口ずさむ
私はそれに耳を塞いで
雨の音ばかりを気にしてた
明けない夜はないって
あなたは私を抱き締めた
私はその手を振り払って
また一人に戻っていく
狂ったほうがマシなんだって
正気の私が叫んだところで
そんな被害者面した陳腐な言葉は
この街では何の意味もない
サヨナラは言わないと
それがあなたの最後の優しさだった
遠ざかっていくあなたの背中を
私は涙もなしに見送った
やっと分かりかけた大人のルールに
こうして私も縛られたまま
あの日の面影を探したところで
汚れた私が立っているだけ
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