高い平原/霜天
あの日プラットホームで抱き合っていた恋人たちは
辿り着いてしまった後のかたち、なんだそうだ
扉を開けて、(間違っていたにしても)そこに立って見る夢は
綺麗な色をしている、らしい
まるで経験したことのように君は言う、ので
雨の後で
川の色がとても鮮やかだ
いつか息継ぎを忘れた子供たちが
振り返りもせずに泳いでいったこと
目を開けた水底では、どんな景色が見えただろう
ビルの谷間に引っかかった
高い、高い平原
揺り籠みたいだ、と呟くと
おやすみなさい、と君が出て行く
手紙を書いてみようと思う
二十四、の街の空は
今日もこんなに綺麗です、と
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