四次元のリコ/atsuchan69
 
かったわね、あれから

つもる話を堪えて訊くと、
彼女は今、塾の帰りだという

 「あっ、そういえばその服。
 君の学校は‥‥

 「――わかる?

彼女は悪戯げに笑う。
 
 「わかるさ、娘とおなじ服だもの

 「彼女は一学年下のクラスよ

 「なんだって。そう、そうなのか
 あ、ええと。今度は、いつ? 

 「そうね。きっと、十年後



あれから十年。

長旅の途中、
窓の外は闇‥‥

本を読むが、落ち着かない

親切なフライトアテンダントは
もしかするとリコかもしれなかった

そういえば、
胃を患って入院したときの
やさしい看護婦さんも
リコだと錯覚した

彼女とつぎに逢う日を――

僕は、どんなに待ちわびていることか






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