師走の具沢山汁/あおば
 
ギー
バタン

ドアが閉まる陳腐な比喩が威勢良く飛び込んできて
着た切り雀のお兄さんが驚いて二階の窓から飛びだして
倶利迦羅紋紋のお兄いさんが三列乗車の列から押し出され
だらしないなぁ!と感嘆符を呑み込んで
つき合いきれない義理を鞄に詰めて
自殺するのは楽しそうだと思いながらも
まだ死ぬのは早いと思い直して
スーパーの閉店時間を気にしながら
駅の階段を駆け下りてゆく
コンビニは割高だから
スーパーの閉店少し前の半額割引を狙うのだと
土曜日のコンパの付き合いに疲れた若い男はホームの隅で情けない格好で這い蹲ってゲロゲロ、
いかにも辛そうだが、道行く人も一度や二度は経験して
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