クラヴィ ヴィエイヤール/もも うさぎ
ールはなんでもこなした
きのこの入った森のシチューは 彼の十八番だった
種を植えて麦を育て、
穂を実らせたそれらを刈り取って
パンもつくった
動物の言葉が話せるとか
そういうドリーミーな特徴は残念ながら彼にはなかった
それより以前に彼は 言葉というものを話さなかった
言語というものに触れたことがなかったのだ
歌は歌ったけれど
木で出来た彼の小屋の前には 朝 たくさんの小鳥が
彼を起こしにきた
遊びにくるのは
ふくろうやら いたちやら
うさぎやら
あ、実はうさぎは 食料にするため たまに
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