波/木立 悟
 

ゆっくりと確かめる指のひとから
手わたされる言葉のような
雪の散る道をすぎるひとから
聞こえてくる色のような
朝の水平線に消えかけながら
まわりつづける季節のような
寄せては返す響きたちを見る



さかいめとさかいめと
さかいめの間で
小さな灯のあつまりを聴き
静かに静かに舞いはじめるひと
ひらかれることのない瞳のひと




ひとつひとつの雨
光 光
銀に 金に
分かちがたく分かれゆくものの間を
水のようにわたしは歩む
闇になり
鏡になり
舞うひとの手に生まれては消える
ひとつの波紋となり
ひとつの波紋を歩む






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