雪とバニラと僕らの関係/Rin K
 


北へ向かえば
沙羅(しゃら)と響く、雪の羽音―――




心地いいほどに
絡まる、しらべ
高みにずれてゆく、音階
いつだって夢から、さめたら
君が立っていた
両の手に
愛情をさげて
感覚ではつかめない、かたち
あの日の愛情は、雪とバニラの
白い関係

バニラアイスの後味が
甘いものの中では
君の次に好きだった
少し熱のある僕が待っている、ただそれだけの
雪と氷と一筋の道しかない、小さな
部屋に君は
袋いっぱいの深雪のなかに
それをうずめて、運んできてくれた
ただそれだけの、小さな日記
雪とバニラの白い関係

冬が去り
春が去り

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