冬の手紙 /服部 剛
 
遅刻すれすれの電車に駆け込み 
腰を下ろしてほっと一息 

気がつくと 
握りしめた手のひらにささる 
いつの間に伸びた爪 

ふいに
携帯電話を取り出し 
日付を見る 

( 今年ももうすぐ師走・・・ 

車窓の外は からから と 
路面に渦巻く木枯しの葉 

( 枯葉に埋まりゆく
( 宛名の無い一通の手紙 

流行(はやり)の風邪をひいた僕は 
電車を降りて 
マスクをしたまま会社へ走る 

風に浮く 
空(から)のビニールを追い抜いて 




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