隣のあの子/蒼依
 

なんか苦しくて なんか辛くて
理由は分からないけど 今にも泣きそう

だけどひとりで泣く勇気なんてないから
誰かの側で泣かせてほしくて
妙にタイミングをうかがっている

そうやってあたしがもたついてる側で
あの子が上手に泣くの

あたしと同じ理由で
あたしが側にいてほしかった人の隣で
上手に泣くの



変なプライドなのか
おかしな気遣いなのか
とにかくあたしはもう泣けなくて
最後のひと踏ん張りで飲み込んだ

そうやってあたしは混沌の中に戻る

なんにも悪くないあの子を
うらやましく思って
醜い嫉妬と自己嫌悪

頼れるのは最近覚えた煙草だけだなんて
ネタにもなんない





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