第二外科壕より/結城 森士
斜陽。窓が次第に夕暮れになっていく
このところの自室の空気は 白いカーテンを覆っていて 収納棚の内側から大勢の女子供たちがガヤガヤと騒ぎ「はやく、はやく、」と叫んでいる。布団の上に倒れこみ目を瞑ると「死線、喜屋式(きやん)、仲栄真(なかえま)、はやく、」
声が聞こえる、身体がグルグルと回る部屋の中心に引きずり込まれて「じゃない、一人・・・渡嘉敷(とかしき)、解散命令・・・」何かが叫ぶ、「じゃない、一人・・・」消える。やはりあの頃からだった。
―――――・・・・・・沖縄に長く行った事が。ある日、一人で、自転車を借りて本土を回ったことが、ある―――――
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