戦争を知らない/竜一郎
いとは
言わないのじゃないかと、思った。
しかし、戦争を知らない。
ぼくらも、戦争を体験した人もおそらくは。
それでも、傷つくことの嫌さ加減はわかる。
武器がなくなれば楽なんだろうけれど
それでは困るニンゲンがいるんだろう。
これからも、大地は血を啜り続けるだろう。
聖地は汚され続けるだろう。
建物は壊され、特定の人種は迫害されて、
家族が殺された人は相手を殺したいほど憎み、
殺して、死んで。
それをするのは、やはり、
戦争を知らないぼくらなのだろう。
いつか、まだ見ぬ子どもたちが
銃を取る日がやってくるかもしれない。
どれだけ、人殺しを減らせるものだろうか?
どれだけ、核の恐ろしさを叫び続けられるのだろうか?
それを知る前に、無責任にもぼくらは死ぬだろう。
何も叫ばぬまま、何も悔いぬまま。
殺すだけ、殺した後で。
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