永遠のむこうにある空 デッサン/前田ふむふむ
1
寒さが沸騰する河岸に、沿って、あなたの病棟は佇む。
粉々に砕けた硝子で、鏤めている実像が、
剃刀のような冷たい乳房のうえに置かれる、
吊るされた楽園。
顔のない太陽は、重さのない一日を、
地下で身篭りつづけて、無謬の白昼をこわす。
世界は終わりから始まり、
寂しい河岸は、呻き声をあげて、道をつくる。
2
池袋から、武蔵野の深い地理に、西武池袋線が流れる。
みずのような物腰で、
赤茶色のローム層を踏み分けて、
電車は清瀬駅に滑りこむ。
駅から、つよく歩幅を広げて、
みどりの色彩を濃厚にするあたり、
わたし
[次のページ]
戻る 編 削 Point(25)