羽ばたくために/山崎 風雅
 
 時の流れは砂時計
 糸の切れた風船のように
 狭い部屋で漂うだけ
 今日は朝から誰からも
 連絡がない
 そんな日も悪くないものだ
 しばしの怠惰な時間を背に背負う

 曇天の空の下
 少し冷える外気と争うのが嫌で
 部屋で煙草と珈琲を交互に口に運ぶ
 調子のいいオッサンからも連絡もない
 めずらしいことだ
 ついにくたばったか
 
 四角い社会で俺はつまはじき
 霊能者は俺のオーラはピュアだと言った
 純粋さは捻じ曲げられる競争社会
 温もり感じる友人の中で溶けてしまいたい

 煙になって天に戻りたい
 鮮やかな花々、木々、野鳥、緑溢れる世界で
 日向ぼっこしながら
 朝日が昇り、夕陽が沈むまで
 煩悩なんかには悩まずに
 自然の一部になって
 安息の時間に身をまかせて
 緩やかにこの世の流れを見つめていたい

 

 明日、羽ばたくために





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