すばらしい日々/はるこ
ひらひらと黄色の葉が落ちてくる。
それがどこから流れてくるのか気になって
思わず上を見上げた。
「うわぁ!」
イチョウが見事に黄色に染まっていて
それが雲ひとつない空の青と調和して
そこだけで「秋」が広がっていた。
「困ったなぁ、困ったなぁ…。」
わたしが「秋」を感じていると、何やら足元で声がした。
「おや少年。何をしているの?」
少年はこっちを向いた。眼が少し赤くなっていた。
「探し物をしているのよ。 ここらへんに落としていったと思うのだけど。
見つけてこないとお母さんが怒るのよ。だから困ってるのよ。」
「少年。何を探しているの?」
「『すばらしい日々』。」
うさぎの眼がいっそう濃くなった。
わたしはくすりと笑って少年のおでこをつついた。
「上を向いてごらん。」
少年はそのまま上を見上げた。
顔をこっちに向けた瞬間、わたしも思わず笑顔になった。
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