真夜中の電話/草野春心
言いたい言葉は短いのに
伝えたい事は単純なのに
どこまでも膨らんでしまう
破裂しそうな心と身体を
布団の下に隠して暮らして
なにもかも見えなくなる
さびしいんだ一人で居るのが
こわいんだ傷つくのが
君の声が聴きたいんだ
もう夜は深いけど
今すぐ会えたらなあ
毎日 会えたらなあ
おさえつけた気持ちの奥で
五歳の僕が何かを言ってる
苦しくて切なくて 君に伝えたくて
真夜中に君を呼ぶ
僕の話を聞かせたい
君の相槌が聞きたい
「どうしたの?」たったその一言が
透き通る君の声が 僕の喉につかえた
その痛みさえも 失いたくない
言いたい言葉は短いけど
伝えたい事は単純だけど
布団の下に隠しておくよ
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