冬空に手を高くあげて/atsuchan69
 
たとえ
 罪に赤く塗れても、
許しはいつも傍にいてくれる
 酷くさむい朝、
遅れて目覚めた僕に
 「おはよう。
という、君の柔らかな笑み

 テーブルの上のベーコンエッグ
淹れたてのコーヒーにそそぐ泡泡ミルク

 誰もが正しいはずはない」
  少しだけ散らした
 シナモンの香りを嗅ぎ、
夕べの記憶が舌に混じって
 渇いた苦味をミルクが和らげる

 ウエッジウッドのカップに
小さく 欠けた痕。

 つい昨日まで
僕が壊そうとしたすべてが、
まるで奇跡のように朝をむかえ
光かがやく、大小クリスタルの煌めき
行儀よくキャビネットに収まって
その凛々しさと
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