言葉の持つしっぽ(あるいは亡霊)について/白糸雅樹
なるべく精確に言葉を使いたい、と思う。だから、言葉がひきずっている余計な意味は、極力、排除する。
しかし、詩歌を書くとき、最も力強いのは、言葉の持っているしっぽではないか、と思うことがある。
例えば、拙作、
ありえないあなたってあなたってあなたって猫背の皇帝ペンギン
は、塚本邦雄の
日本脱出したし 皇帝ペンギンも皇帝ペンギン飼育係りも
を踏まえている。どんな歌人も、塚本のこの歌を意識することなくして、皇帝ペンギンを詠うことはできない、と思う。(逆に、塚本のこの歌を捨象することを目的とした場合を含む)
同様に、私は杉崎恒夫の歌を思うことなく鳩サブレ―を食べることができな
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