死に損ない/
リュカス
登場するはずの「彼」がいない
だから「彼」はいないのと同じ
でもぼくら「彼」を知らないってわけじゃない
人工的に飾られた花々や、沈みかける太陽
燃え上がる雨や、蝋燭の冷たい炎
そのあと幾つもの退屈な映像の背後では、涙を一つずつ拾う繊細な音
「彼」は映りはしないけど、
「彼」は「ぼくら」を映すんだ
白状するけどあの「慈悲深い彼」のことじゃない
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