アドニスの小鳩/三条麗菜
大切にしていた小鳩を
私がそっと取り上げて
早く大きくなりなさいと
あなたの耳に囁きかける
男の子なら
強い猟師になるべきだと
お父様もおっしゃいました
お父様は自由に空を駆け回る
鷹を飼っておいでです
でもあなたは
飛ばない小鳩を可愛がり
いつまでも手放さないのです
小鳩の首を優しく撫でて
白く細い指を何度も這わせて
小鳩に甘い鳴き声を出させては
悦んでいるばかりです
あなたはこのままでは
冥界の女王に目をつけられて
連れ去られてしまいます
そこでは確かに
いつまでも美しい少年のままで
いられるけれど
あなたは一生女王様の
お人形のままで
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