こだま したたり/
木立 悟
うそつきにひとつ
水に沈む瞬間の
鳥のくちばしにひとつ
うそつきにひとつ
群れを照らす光
肩から上の影
音のない群れ
滴をもとめて
水が描くはざま
入り江とはばたき
向かいあう金色
草の眠りを 妨げはしない
屋根の上の
二人の魔女
手の上の
手の上の 雨
灰むらさきの空の層
長く低い真昼の銀河
二匹の巨きな古代の魚
ほどきあいほどけあう
雨が流れてゆく
どこからか来て
何も撲つことなく
土への径をさまよう
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