マフラーは長すぎて/ピクルス
 

ちいさな掌を
ひとつ結んでは覚えてゆく指あそび
ほんとうなんて要らない
と言い聞かせながら
それは未だ新しい

老いさらばえた両腕は
調和したスープと
子守歌で満たされる
動かない光
あたたかな窓の数だけ
架空の挨拶が交わされる
ごきげんよう
ごきげんよう

薬を飲むの忘れたら
叱られるのが怖くて
初めて嘘をついた
ほんの少しずつ重なって
椋鳥は鳴かなくなった
弱さからか自信のなさからか身勝手さからか
君は知らない

綺麗な石を捜しては
積んでゆく
仕舞いには平衡について考える
不思議ななにかが喚んでいるよ
いつも遠く近く声がする
耳を澄
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