朝とオレンジ/船田 仰
て
ふと共に鳴いてみたくなったとき
とってもさみしくなるようなことも
新聞にはのったりしない
ぼくはぼくの望むだれかになりたくて
朝をにらんでは
履きつぶせない靴で知った顔をする
カラス、鳴けばいいよ
どっちにしたってぼくらは分かってあげられない
ぼくが死んだってきみが死んだって
きっといつになっても新聞にはのらないんだろう
そしてぼくはオレンジの
オレンジの朝をにらむ
曲がり角や
真っ直ぐなみちや
日が沈む屋上や
そんな弱りきった
ぜんぶの呼吸までずっと
ずっと
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