人魚姫/
遊羽
のは鉛色の海の上に
休むことなく降り注いでいました
ただそれだけのことでした
それでも僕は
人魚姫に会いに行きました
コペンハーゲンの町に戻る途中
オスロ行きの大きな船を見ながら
今夜これにでも乗って
この町を離れようかとも思いました
ほんの数分の人魚姫との出会いは
もうすっかり過去になり
今は町に戻ることばかり考えていました
オスロ行きの船の裏手に
マルメ行きの船がありました
よく考えもせず僕は
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