ほんとうのもの/
yaka
不器用な指先の
気の利かない言葉の
温もりを
零してばかりいた
あの日ホームで
あなたは両手をポケットにつっこんだまま
素っ気ないさよならを言った
私の瞳が迷わぬように
くり返す日々の
目立たない時間の
強さを
知らないままでいた
あなたは静かに
これまでもこれからも
ただ黙々と歩きつづける
だれの瞳も濡らさぬように
華やかな時の流れに
立ち尽くしたまま
今あなたの
不器用な背中がとても
欲しいと思う
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