書く動力13/Dr.Jaco
書き出しに戻ることは極力避けたいと思っている。オーネットコールマンが最初
の一吹きに立ち戻ることは、マウスピースに吹き込まれた瞬間の霊魂が不可逆を
宣言している、というくらい無理である。カートリッジがターンテーブルを疾走
している、というくらい近接した視界の中で宣言される。「どこから来て、どこ
に行くのだろう」なんて言ってる暇なんて無いのである。
というくらい、常に不可逆な朗読というものを私は避けて来た。私は声にする人
間(他人)の媒介を排除したい。自分でやるなんてもってのほか。
それでも、自身が詩を書くときに音声を自覚できれば、少しはやる気にもなるだ
ろうが、そうではないのだ。私
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