キキュロプスの涙/プテラノドン
 
  気の向くままに屋根を突き破って、
固い床の上で、くるくると回り続ける隕石から
拡がる光が部屋の中を照らしている。
  キキュロプスの瞳は、世紀末を迎えた
ミラーボールのようで、口から泡を吹きながら
フェルメールは何度も卒倒する。穴の開いた
天井から吹き込む夜風やら、輝く室内に関しての
構図は完璧だったし、まったくもってくたびれた肋骨は
ひしゃげた羽の形に似ているね―なんて、
それらそっちのけで、教師崩れの男が
ほそっこい顎にシェービングクリームをつけたまま、
階段から降りてくる姿は、くだらない短編小説に
登場する一文無しの家主そのものだったので、
大家は大火傷する。
永遠さえなかったら、どんなに悲しまずに
すんだだろうか―?
  その後、フェルメールはキキュロプスのために
サングラスを考案したと書かれているが、
結局というか、実のところ
彼は自らサングラスをかけたに
過ぎない。



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