夏草のオーガズム/ピクルス
囁く水の招きに
おとなしくなってゆく
たのしい夢をみて
かなしい夢もみて
ちっとも貧しくならないから
誰にも聞こえないように小さな声で
誰にも聞かれないように大きな声で
蜂蜜みたいに三日月
バナナボート揺られて
次第に淡くなってゆく
いやしいカラダは小さくて
さよなら
とは云えずに
ただ頷いていた
遠ざかってゆく夏も
近づいてくる夏も
静かに静かにしているよ
くるしめた言葉は
花を添えて無人島に埋めよう
晴れた日に
風は吹いて
その
強い強い風に
くらくらしながら
電信柱にもたれてる
たくさんたくさんたくさんの
影踏みをして
狂った
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