水の匂い/ロカニクス
 
生まれたときから傍で横たわってた溺れたての見知らぬ人が
見えなくなった今日という日

あの人が選んだのは私でなくて日常と私を繋ぐ糸であり線だったと
悟りつつある今という瞬間

さよなら糸さよなら線 そうやって手を振りながら
幼少時代の匂い かき集めようとしてまた喉涸らしてしまう

あの人の中の私が去った途端 私の中のあの人を見失ってしまった

水も心も尽きること無いと信じていた あの頃
水の匂いは真新しかった



ありがとうを思い出す未来まで ずっと底にいたかった
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